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ロングプロダクツ『檸檬』の起案から製作・完成に至るまで、そして筆記具に込めた願いをペンハウスのサイト運営責任者・岡田純一郎が語る!





筆記具を手に取って、こんな風に感じられたら本当に素敵ですね。



『檸檬』という文字を見て作家「梶井基次郎」の小品を思い浮かべた人は少なくはないと思います。知らないと読めない難しい漢字ですが、この小説と同様、存在感を漂わせながらも繊細で美しい文字です。私自身も学生の頃、この作品で初めて知りました。そして筆記具の命名もこの作品に因んでいます。残念ながら数年前に閉店となりましたが、老舗の文具店「京都 丸善」がクライマックスの場面で象徴的に出てきます。ステーショナリーを販売する私達にとって何か因縁を感じざるを得ません。



基次郎の美意識、そして彼がレモンに対して感じた清涼感・爽快感・清浄感をいつかは商品で具現化したいと思っていました。





小説に登場する京都二条寺町の果物店「八百卯」を訪ねてみた。こちらも残念ながら2009年に閉店となっているが、シャッターが下ろされた店先には看板がそのまま残されていた。カメラのファインダー越しに当時の雰囲気を探しつつ、主人公があてもなく彷徨った街並みに想いを馳せてみる。




これらのイメージを具現化し命を吹き込めるのは、決して世界的な有名メーカーではなく、日本の大手メーカーでもない。またイタリアのアルチザン(伝統工芸職人)でもないと思っています。私の頭の中では藤本さんしかありませんでした。



いつも新製品の打合せの時に、製品のコンセプトについて質問されます。なんら製作技術に関わることではありませんが、藤本さんは「うん、うん。なるほど。ほー。」と相槌を打ち、最後に頷きながら「分かりました」と仰います。その言葉はまるで、こちらの思いを吸収し、筆記具に吹き込むすべてを了解した、といった風です。何か凄いんです。建築家や画家が依頼主からヒアリングするのとはまた異なる、神がかり的なものを感じるんです。 きっと藤本さんが紡ぎ出せば「あぁ、『檸檬』だ」と感じさせることができると思っていました。


藤本さんは早稲田大学の経済学部を出てから、本格的に万年筆の製作に携わられました。私は当然、職業柄、工業系の学校を出られていると思っていましたので少し驚きました。
そして職人さんとしては遅いスタートです。
「始めることに遅いことなどありません。『継続は力なり』を座右の銘とし修業しました。この歳になっても今も『継続は力なり』ですよ。続けることが出来たのは、今度作る時はこうしてやろう、ああしてやろうと毎回新たな気持ちで向かってきたからだと思います。この万年筆(檸檬)は、そんな新鮮な気分で再スタートできるような気持ちにさせてくれる筆記具ですな。軸を削り出している時にそう感じました」と試作品が出来上がった時に仰いました。
今年で77歳になられます。凄いですね、50年以上も色褪せることなく初心を失わずに続けられているなんて。そして運慶が仁王を彫り出すように、藤本さんはまさにこの『檸檬』のコンセプトを削り出したのだと感じました。






『手に取った瞬間、爽やかな活力が、体を駆け巡るようなレモンイエロー』
このコピーは当店スタッフが考案しました。私は『檸檬』の紹介文を書く時、文の出だしになかなかピンと来るものが浮かばず、悩んでいたところに助け舟を出してくれました。この一文を見た時、「まさにこれだ!」と思いましたね。使用する人に感じて欲しい、伝わって欲しいことがこの言葉に凝縮されています。



基次郎が感じたことを集約したような文です。どのスタッフにもこの筆記具が小説由来であることを言っていませんでした。今回この場が初めてとなります。だからその時、彼がコピー文のように感じてくれたことがとても嬉しかったですね。





「マンダリンオレンジ」「桃花のほころび」のカラーバリエーションですが、果肉の瑞々しさを出すために他よりパール材を多く使いました。決して派手に感じること無く、淡くとも安っぽい色にならないようこだわり、色柄の試作も二度行いました。 商売柄これまで、色々な筆記具を見てきました。自画自賛になってしまいますがこれほど目を惹く美しいイエローのペンは見たことがありません。 アセテートの発色性が素晴らしい。色褪せることは決してありません。むしろ使えば使うほどに艶が増すようです。発売当初より使用しているスタッフのそれは未だ瑞々しいままです。




本当にこんな感じなんですね。机の上がごった返していても、そこにこの筆記具が存在するだけで周囲の混沌を吸収してしまう気がするのです。そして自然と机上に溶け込み、清浄感を漂わせてくれるように感じます。



『檸檬』は手に取ると爽快感が、筆記する時には清涼感と落ち着きを与えてくれる、使用する人にいつまでもそんなペンであって欲しいと願っています。



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岡田純一郎が語る<ラピスラズリができるまで>