Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ 舞姫（まいひめ）
企画・文章：文具ライター武田健
森鴎外の作品の中で一番有名な作品は何だろう？と考えた時、真っ先に思い浮かんだのが『舞姫』である。他の世代の人たちはどうかわからないけれども、少なくともぼくたちの世代（おそらく昭和40年代生まれ）にとってこの作品は、教科書に取り上げられた作品として広く知られている。
文語体で書かれているので、教科書を開いて読み始めた時、古文じゃないかっ！？と、古文が苦手だったぼくは頭を一瞬抱えたのを覚えている。しかし、読み進めていくうちに、だんだんと文章が頭に入ってきて、そうなると、逆に文語体がしっくりとなじんできて、どっぷりと作品の世界に浸ることができた。
しかし、これを読んだ時（おそらく高校時代）、ぼくはあまり文学というものを理解していなかったので、正直、主人公である豊太郎にまったく感情移入をすることができなかった。日本からドイツに留学した主人公の生活ぶりに憧れはしたものの、彼が恋に落ち、しかし、その恋が叶わず、愛するエリスを残して帰国するくだりにどうしても納得がいかなかった。
男として情けない！自分ならば恋を貫く！と当時は作品に対して強い反発を覚えたのは、今から思えば若気の至りだったのかもしれない。
もちろん、大人になって読んでみると、この作品は、家族やお上を主とした時代から個を主体とした時代への転換期を描いた、いわゆる自我の目覚めを表しているということは良くわかる。そして、それは歌舞伎や文楽といった古典芸能にも描かれた日本の大きな歴史的背景にも通じるものがあり、そういう意味ではとても興味深い作品だし、意義深いものだということは良くわかる。
ところで、記憶というのは恐ろしいもので、教科書にこの作品の全文が掲載されていたわけではないと思うのに、ストーリー全体は何となく頭の中に残っていて、どこでどうそれが補強されたのかが定かでない。さらに、作品の中では豊太郎はエリスを残して帰国の途に就くのであるが、ぼくの記憶では豊太郎はエリスを日本に連れて帰っているのである。
森鴎外はエリスのモデルとされるエリーゼを日本に連れて帰っているので、おそらく、その話と物語が記憶の中でないまぜになっているのだろう。
さて、そんな「舞姫」を色にするときにぼくが真っ先に想い描いたのが紫色である。
踊り子であるエリスの着ていた服の色のイメージがぼくの中ではこの薄い紫色だったのだ。実際に作品の中で具体的に紫色が出てきたわけではないけれども、どうしてもそんなイメージがして今回の色にこの色を選んでみた。
文語体で書かれているので、教科書を開いて読み始めた時、古文じゃないかっ！？と、古文が苦手だったぼくは頭を一瞬抱えたのを覚えている。しかし、読み進めていくうちに、だんだんと文章が頭に入ってきて、そうなると、逆に文語体がしっくりとなじんできて、どっぷりと作品の世界に浸ることができた。
しかし、これを読んだ時（おそらく高校時代）、ぼくはあまり文学というものを理解していなかったので、正直、主人公である豊太郎にまったく感情移入をすることができなかった。日本からドイツに留学した主人公の生活ぶりに憧れはしたものの、彼が恋に落ち、しかし、その恋が叶わず、愛するエリスを残して帰国するくだりにどうしても納得がいかなかった。
男として情けない！自分ならば恋を貫く！と当時は作品に対して強い反発を覚えたのは、今から思えば若気の至りだったのかもしれない。
もちろん、大人になって読んでみると、この作品は、家族やお上を主とした時代から個を主体とした時代への転換期を描いた、いわゆる自我の目覚めを表しているということは良くわかる。そして、それは歌舞伎や文楽といった古典芸能にも描かれた日本の大きな歴史的背景にも通じるものがあり、そういう意味ではとても興味深い作品だし、意義深いものだということは良くわかる。
ところで、記憶というのは恐ろしいもので、教科書にこの作品の全文が掲載されていたわけではないと思うのに、ストーリー全体は何となく頭の中に残っていて、どこでどうそれが補強されたのかが定かでない。さらに、作品の中では豊太郎はエリスを残して帰国の途に就くのであるが、ぼくの記憶では豊太郎はエリスを日本に連れて帰っているのである。
森鴎外はエリスのモデルとされるエリーゼを日本に連れて帰っているので、おそらく、その話と物語が記憶の中でないまぜになっているのだろう。
さて、そんな「舞姫」を色にするときにぼくが真っ先に想い描いたのが紫色である。
踊り子であるエリスの着ていた服の色のイメージがぼくの中ではこの薄い紫色だったのだ。実際に作品の中で具体的に紫色が出てきたわけではないけれども、どうしてもそんなイメージがして今回の色にこの色を選んでみた。
この商品には以下のバリエーション（色・種類）があります。
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