Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ 陰翳礼讃(いんえいらいさん)







企画・文章:文具ライター武田健
以前、ぼくのことをよく知る友人に「武田さんがハワイよりもバリ島の方に足しげく通う理由が良くわかる」と言われたことがある。幼少の頃半年だけ住んだことのあるハワイよりも、バリ島の方に魅かれ、6回も通っているのだが、特に自分ではそのことを意識してはいなかった。ハワイはいつでも行けるし、いつも混んでいるイメージだし、何となく惹かれなかったのだ。だが、その友人曰く「ハワイには影がない感じがする。でもバリ島はどこか影があって、そこに武田さんは惹かれるんじゃないか」というのだ。それを聞いて、確かにその通りだなと妙に納得した。
確かに、ぼくはどんなものに対しても、どこか影があるものとか、裏があるものの方に興味がある。例えば、人間にしても、単に明るいだけの人よりも、どこか何考えているのかよく解らない人だとか、ちょっと憂いを感じさせるような人の方に興味がわく。
これはあくまでもイメージなのだが、ハワイというのはぼくにとっては明るくて、陽気で、(歴史的には色々とあるものの)、どこまでもピーカンな青空という感じだ。一方バリ島は、もっと独特の雰囲気を持った島だ。神様が今でもいて、島民たちは今でも忠実にその信仰を守っている。
そして、バリ島はぼくにとっては明るいだけではない、どこか影を感じる雰囲気を持っているのだ。これもやはりあくまでもイメージの問題。ケチャダンス、ワヤンクリと呼ばれる影絵人形劇、一年中島のどこかで行われている寺院の誕生祭、ホテルのどこかからポロンポロンと聞こえて来るガムランを練習する音。など、特にぼくの大好きなウブドという農村一帯は、静かで、ちょっと暗くて、そんな影を昼間でも感じることができる場所。そういうところにぼくは魅力を感じてしまうのである。
さて、前置きが長くなったが、コトバノイロで取り上げることになった谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」は、谷崎が日本の陰影に潜む美意識や美学を描いた作品である。
この作品が書かれたのは昭和8年。当時の日本は西欧近代化を推し進めている真っ最中で、日本的な美がそれによって損なわれていくことを谷崎は案じていたのだろう。
そこで、彼はこの作品で、そういった西欧一辺倒になることへの警鐘を鳴らしたのだと思う。
この作品はもちろん、日本人に向けて書かれたものなのだが、実は逆に欧米人にとっても、日本の美しさを知るきっかけとなる作品にもなり、海外でも翻訳されたものが高い評価を受けた。そして、今こそこの作品は日本人である我々がまた読み返すべき作品なのではないだろうか。
そんな日本の美を再確認するこの作品をインクの色で表現する時にはどんな色が良いだろうかと思った時に思い立ったのが、少し明るさも感じる黒よりのグレーだ。
影があるからこそ、明るさがより際立つのをどうやって表現したら良いのか悩ましいところではあるが、万年筆のインクというのは濃淡によって、その陰影の両方を表現することができる。だから、この明るめの灰色を「陰翳礼讃」の色として選んでみた。
ぜひ、そんな濃淡で日本の美を再確認してもらえたら嬉しい。
確かに、ぼくはどんなものに対しても、どこか影があるものとか、裏があるものの方に興味がある。例えば、人間にしても、単に明るいだけの人よりも、どこか何考えているのかよく解らない人だとか、ちょっと憂いを感じさせるような人の方に興味がわく。
これはあくまでもイメージなのだが、ハワイというのはぼくにとっては明るくて、陽気で、(歴史的には色々とあるものの)、どこまでもピーカンな青空という感じだ。一方バリ島は、もっと独特の雰囲気を持った島だ。神様が今でもいて、島民たちは今でも忠実にその信仰を守っている。
そして、バリ島はぼくにとっては明るいだけではない、どこか影を感じる雰囲気を持っているのだ。これもやはりあくまでもイメージの問題。ケチャダンス、ワヤンクリと呼ばれる影絵人形劇、一年中島のどこかで行われている寺院の誕生祭、ホテルのどこかからポロンポロンと聞こえて来るガムランを練習する音。など、特にぼくの大好きなウブドという農村一帯は、静かで、ちょっと暗くて、そんな影を昼間でも感じることができる場所。そういうところにぼくは魅力を感じてしまうのである。
さて、前置きが長くなったが、コトバノイロで取り上げることになった谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」は、谷崎が日本の陰影に潜む美意識や美学を描いた作品である。
この作品が書かれたのは昭和8年。当時の日本は西欧近代化を推し進めている真っ最中で、日本的な美がそれによって損なわれていくことを谷崎は案じていたのだろう。
そこで、彼はこの作品で、そういった西欧一辺倒になることへの警鐘を鳴らしたのだと思う。
この作品はもちろん、日本人に向けて書かれたものなのだが、実は逆に欧米人にとっても、日本の美しさを知るきっかけとなる作品にもなり、海外でも翻訳されたものが高い評価を受けた。そして、今こそこの作品は日本人である我々がまた読み返すべき作品なのではないだろうか。
そんな日本の美を再確認するこの作品をインクの色で表現する時にはどんな色が良いだろうかと思った時に思い立ったのが、少し明るさも感じる黒よりのグレーだ。
影があるからこそ、明るさがより際立つのをどうやって表現したら良いのか悩ましいところではあるが、万年筆のインクというのは濃淡によって、その陰影の両方を表現することができる。だから、この明るめの灰色を「陰翳礼讃」の色として選んでみた。
ぜひ、そんな濃淡で日本の美を再確認してもらえたら嬉しい。







この商品には以下のバリエーション(色・種類)があります。
消耗品・関連商品



商品名:SAILOR(セーラー万年筆) ボトルインクリザーバー 50ml角瓶専用 13-0500-000 インク吸入補助具
希望小売価格(税込):550円
販売価格(税込):495円
加算ポイント:4ポイント




商品名:Pent〈ペント〉 by 藍濃道具屋(レンノンツールバー)ボトルインク 限定色 源氏物語
希望小売価格(税込):2,970円
販売価格(税込):2,970円
加算ポイント:27ポイント
ペンハウスデザイン(日本)
藍濃道具屋デザイン(台湾)












商品名:Pent〈ペント〉 インク吸入器アダプター ハミングバード
希望小売価格(税込):2,970円
販売価格(税込):2,970円
加算ポイント:27ポイント
A(ペリカン/モンブラン/他)
B(パイロットCON-70/CON-70N/ラミー)
C(プラチナ/Sheaffer)

