眺めているだけでも楽しめる
フランス装からインスパイアされたビンテージ アンカットスタイルが登場!
本来のフランス装というのは、小口(裁断面)を裁断していない本文を糸で綴じ、仮表紙でくるみ、愛書家が自分の好みに本製本し直すための仮綴じを指す。本文は仮綴じを彷彿するアンカット風に、表紙には手揉みして皴を付けた表情豊かなピッギーライトでアンティークな雰囲気をふんだんに漂わせ、フランスの製本技術のギャルド・ブランシュを採用。さらにキャラコ布で補強し、手帳の破損が軽減されるように配慮している。ページ数は圧巻の500頁、本文紙には筆記性に特化された『トモエリバー文具用(FP)68g』を採用。使った後は本のように書棚に飾るのも良し、机の引き出しや鞄に忍ばせるのも良し、実用性を兼ね備え、空気感や雰囲気を存分に味わえる逸品だ。
ルリユール文化
産業革命が始まる以前のフランス16世紀末頃、フランスの知識階級は書物を大変珍重していた。当時、本は厚紙を表紙とし、細い糸で綴られた所謂「仮綴じ」という簡易的な形で売られていた。彼らは読み終わった後、装丁を専門とする職人ルリユール(relieur:フランス語で「再度糸で綴りなおす」の意)に依頼し、革や布の立派な表紙を付け一冊の書物として仕上げもらう。そしてお気に入りの部屋に飾り眺めて楽しむのである。また仮綴じの中には何度も読まれたため擦り切れて、シミや汚れがついているものや、古くから書き留めていたノート類もある。そういうものに装丁を施し、大切に残したいというルリユール文化が現在も当地では残っているのだ。
ギャルド・ブランシュ(Gardeblanche)
この手帳は「ギャルド・ブランシュ(Gardeblanche)」を採用している。フランスの製本技術で大切な本文を保護するために考案されたもので、本文の前と後に配置する白紙のことを言う。紙質は丈夫なもので、紙の厚さそして色も本文の用紙に似通う馴染みやすい紙を選である。
キャラコ布で補強
さらにギャルド・ブランシュと見返しの合わせ部分(ノド)には細く裁断したキャラコ布を貼り、手帳の破損や歪みの軽減させ、また開きやすさや書きやすさを向上させている。
年代物の手帳に育てるのに相応しい手帳を作るべく、前作「本革手帳 ヴィンテージ Vintage」を製作いただいた吉野浩氏に今作も製作を依頼。モノ作りに拘りを持ち、丁寧な仕事ぶりで、さらに技術面でも評価の高い、仙台在住のグラフィックデザイナーでもある製本作家、吉野浩氏に「ヴィンテージ アンカット」も製作いただいている。
繊細で緻密な作業の積み重ねの結晶、美しい書物のような手帳
吉野浩氏は、一枚一枚、紙を断裁し、針に糸を通してかがり、革を漉き、台紙を貼り合わせ、背固め、小口染め、刻印、スピン・ゴム付けなど、一人で膨大なすべての工程をこなす。まるで本のように手帳を完成させるのだ。まさにハンドメイド。出来上がったその佇まいは、まるで美しい書物のように見える。まさに繊細で緻密な作業の積み重ねの結晶だ。多くても一日に3冊出来れば良い方という。それだけ、丹念に慎重にそして丁寧に作られている。
製本はとても開きの良いパピヨン綴じを採用。パピヨン綴じとは、源流をブリュッセルに持ち、装幀家の栃折久美子さんが考案した、アンティークな製本方法だ。強度があり、美しく綴じ上がり、スムーズにノドまで開くのが特徴。吉野氏は製本始め、革の細工まで全てを独学で取得したという。この拘りが美しい手帳へと昇華させるのだ。
アンカットとは本の小口(裁断面)のいずれか、もしくは三方を化粧裁ちしないまま仕上げる製本。パピヨン綴じされたノートが化粧裁ちされず束ねられたままで、やや不揃いな小口は、フランスの仮製本を彷彿させる。洒落た雰囲気を漂わせ、さらにアンティーク感を醸し出すのだ。
表紙の革には、特別に手間暇かけて仕上げをしたピッギーライトを採用した。人や環境に優しい無害なオイルとワックスを配合して仕上げた透明感と深みのある革で、独特の艶はワックスを焦がすことで生まれ、一枚一枚を熟練の職人が手揉みしてシワ模様を作っている。しっとりとした質感で使い始める前から手に馴染み、使い込むほどにさらに独特の風合いが生まれてくるのだ。見返しには年代物然とした風合いのある、マーメイド紙を採用している。
罫線は6mm間隔で、文字の邪魔をしない自然なセピアカラー。ページは圧巻の500頁とたっぷりと書き込め、ページの右端上には日付が書き込みやすいようドットを配した。しおりも2本付けてあるので用途が広がり便利だ。
表の帯にはシリーズ名である「Vintage(ヴィンテージ)」と当店オリジナルブランド「Pent(ペント)」のロゴ。手帳の仕上げに帯封(おびふう)を付け、いにしえの雰囲気と高級感を漂わす銅色の封蝋でスタンプを施した。こうして年代物の手帳に育てるに相応しい、こだわりの手帳が出来上がった。
前作「Pent〈ペント〉 デザイン・ワイ ハンドメイド 本革手帳 ヴィンテージ Vintage」はこちら