Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ 黒蜥蜴(くろとかげ)







企画・文章:文具ライター武田健
江戸川乱歩について強烈な思い出がある。それは小学5年生の時のこと。クラス中で一大江戸川乱歩ブームが巻き起こったのだ。主に女子生徒の間で口コミで広まったのだが、とにかくクラス中の生徒たちが一斉に江戸川乱歩を図書室で借りてきて読むという現象が起きたのだ。御多分にもれず、ぼくもその流行に乗っかってしまったのだが、本当に夢中になった。図書室にあった江戸川乱歩のシリーズだったと思うので、少年探偵団ものが中心だったような気がするのだが、どの作品もおどろおどろしくて、非現実的で、そこが幼心に強烈に印象に残った。ぼくがそういう何となく影のある世界に惹かれるのは、江戸川乱歩の作品のような世界がもともと好きだったからなのかもしれない。
ところが、不思議なことに、大人になるにつれて、だんだんと江戸川乱歩を読まなくなってきた。もちろん、あの世界は大好きだし、読もうと思えばいくらでも読む機会はあったと思うのだが、自分の中で勝手に「江戸川乱歩は若い頃に読むものであって、大人になってから読んでも本当に面白くは感じられないのではないか」と思い込んでいるフシがあった。また、その延長で、大人になって読み直してみたら、子どもの頃に読んでいた時のようなトキメキやわくわくがなくなってしまって、がっかりした。という作品も中にはあり、江戸川乱歩の作品に対してそういう気持ちを抱いてしまうのを恐れていたという面も否めない。 しかし、そんなぼくが再び江戸川乱歩の世界に呼び戻してくれるきっかけとなったのが、2年前に三越劇場で上演された新派の役者たちによる「黒蜥蜴」の舞台だった。ぼくの大好きな若手の役者さんたちが歌舞伎の世界から新派に移り、その人たちのために新たに練り直されたのが新派版の「黒蜥蜴」だった。 「黒蜥蜴」というと、三島由紀夫の脚本で、美輪明宏さんが演じる演目として非常に有名だけれども、残念ながらぼくはまだそちらの「黒蜥蜴」を見ていなくて、噂や評判でしか知らない。だから、ぼくにとっての「黒蜥蜴」の舞台は二年連続で上演された新派の「黒蜥蜴」だけなのだ。
そして、新派を見るにあたって、ぼくは改めて、恐る恐るこの作品を読み直してみた。すると、もう、これが面白いのなんの!確かに子どもの頃に読んでいたかもしれないけれども、その時には決して読み取ることができなかった細かい登場人物たちの機微も良くわかったし、そこから生まれる悲哀のようなものも感じることができた。
さらに、ぼくはこの作品を新派の劇として体感することができたのである。文芸作品をただ単に字面で追うだけではなく、俳優の肉体や声を借りて脳内再生されることの素晴らしさを実感することができた。
だから、ぼくは2年続けて10回以上も三越劇場に通い詰めることになったのだ!
さて、そんな思い入れの強い「黒蜥蜴」は絶対に黒と決めていた。でも、その黒も単なる黒ではなく、もっと艶めかしくてミステリアスな色に仕上げたいと思った。そこでぼくが最終的に選んだのが少し紫がかった黒である。色の見本をみていただければわかると思うが、普通に細字で書くと、一見黒に見えてしまう。ところが、太字でかくと、ほんのりと紫色の部分が感じられることにお気づきになられるだろうか。
それも、微妙に光の加減によって、あるいは万年筆の種類によって見え方が変わってくるので、そこがミステリアスなんじゃないかと思っている。

ところが、不思議なことに、大人になるにつれて、だんだんと江戸川乱歩を読まなくなってきた。もちろん、あの世界は大好きだし、読もうと思えばいくらでも読む機会はあったと思うのだが、自分の中で勝手に「江戸川乱歩は若い頃に読むものであって、大人になってから読んでも本当に面白くは感じられないのではないか」と思い込んでいるフシがあった。また、その延長で、大人になって読み直してみたら、子どもの頃に読んでいた時のようなトキメキやわくわくがなくなってしまって、がっかりした。という作品も中にはあり、江戸川乱歩の作品に対してそういう気持ちを抱いてしまうのを恐れていたという面も否めない。 しかし、そんなぼくが再び江戸川乱歩の世界に呼び戻してくれるきっかけとなったのが、2年前に三越劇場で上演された新派の役者たちによる「黒蜥蜴」の舞台だった。ぼくの大好きな若手の役者さんたちが歌舞伎の世界から新派に移り、その人たちのために新たに練り直されたのが新派版の「黒蜥蜴」だった。 「黒蜥蜴」というと、三島由紀夫の脚本で、美輪明宏さんが演じる演目として非常に有名だけれども、残念ながらぼくはまだそちらの「黒蜥蜴」を見ていなくて、噂や評判でしか知らない。だから、ぼくにとっての「黒蜥蜴」の舞台は二年連続で上演された新派の「黒蜥蜴」だけなのだ。
そして、新派を見るにあたって、ぼくは改めて、恐る恐るこの作品を読み直してみた。すると、もう、これが面白いのなんの!確かに子どもの頃に読んでいたかもしれないけれども、その時には決して読み取ることができなかった細かい登場人物たちの機微も良くわかったし、そこから生まれる悲哀のようなものも感じることができた。
さらに、ぼくはこの作品を新派の劇として体感することができたのである。文芸作品をただ単に字面で追うだけではなく、俳優の肉体や声を借りて脳内再生されることの素晴らしさを実感することができた。
だから、ぼくは2年続けて10回以上も三越劇場に通い詰めることになったのだ!
さて、そんな思い入れの強い「黒蜥蜴」は絶対に黒と決めていた。でも、その黒も単なる黒ではなく、もっと艶めかしくてミステリアスな色に仕上げたいと思った。そこでぼくが最終的に選んだのが少し紫がかった黒である。色の見本をみていただければわかると思うが、普通に細字で書くと、一見黒に見えてしまう。ところが、太字でかくと、ほんのりと紫色の部分が感じられることにお気づきになられるだろうか。
それも、微妙に光の加減によって、あるいは万年筆の種類によって見え方が変わってくるので、そこがミステリアスなんじゃないかと思っている。




この商品には以下のバリエーション(色・種類)があります。
消耗品・関連商品



商品名:SAILOR(セーラー万年筆) ボトルインクリザーバー 50ml角瓶専用 13-0500-000 インク吸入補助具
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商品名:Pent〈ペント〉 by 藍濃道具屋(レンノンツールバー)ボトルインク 限定色 源氏物語
希望小売価格(税込):2,970円
販売価格(税込):2,970円
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ペンハウスデザイン(日本)
藍濃道具屋デザイン(台湾)











商品名:Pent〈ペント〉 インク吸入器アダプター ハミングバード
希望小売価格(税込):2,970円
販売価格(税込):2,970円
加算ポイント:27ポイント
A(ペリカン/モンブラン/他)
B(パイロットCON-70/CON-70N/ラミー)
C(プラチナ/Sheaffer)

