Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ 千羽鶴(せんばづる)






企画・文章:文具ライター武田健
川端康成、三島由紀夫は、高校時代からずっと読み続けている作家である。初めてどの作品を読んだのか忘れてしまうほど、ぼくの人生になくてはならない小説をたくさん書いている。
本来であれば、そのすべてをコトバノイロとして表現したいくらい、この二人の作家の作品はどれも深く心に刻まれている。
その中でも川端康成は子ども心にどの作品にも独特の影のようなものが感じらて、そこが官能的でもあり、ぞくぞくしながらページを繰っていたことを今でも覚えている。
それは、例えば小学生の時に図書室にあった江戸川乱歩を読んでいた時から憧れていた世界でもある。子ども心に「淫靡」な世界(もちろん、その当時はそんな言葉も知らなかったわけだが)に対する想いがとても強かった。
子どもというのは親から見てはいけないと言われる物事にほど、興味を持つものだ。川端康成らの作品は、子どもにとっては禁断の世界が、ページを開けばいくらでも垣間見せてくれる。それをドキドキしながら読むのが楽しみでもあった。
ぼくは人間の明るい部分だけではなく、抗えない暗い感情というものに非常に興味があったのだ。
川端康成の作品の根底にはそんな人間として生まれたがゆえの哀しみだとか、情念のようなものが漂っている気がして、知らず知らずのうちにどの作品を読んでも、そういった陰の部分を探すようになった。
この「千羽鶴」もそんな人間の奥底に潜む情念のようなものを官能的に描いた作品だとぼくは思っている。
この作品の中で特に印象的なのは、志野茶碗や風呂敷に描かれた千羽鶴である。
川端康成の作品にはそういったさりげない日本の伝統美が描かれており、それが作品に奥行きを与えている。この「千羽鶴」でも、そういったところを随所に感じられ、ぼくはそういうところを読むのが大好きなのだ。
この作品はストーリーも少し入り組んでいて面白いのだが、人間の感情を描きながらも、そういったディテールも描写されているので、より一層鮮明に印象に残るのだ。
そんな「千羽鶴」をコトバノイロで取り上げると決まった時にぼくが思い描いたのは、口紅の色である。しかし、その口紅の色は艶やかな深紅の色ではない。形見として受け取った志野茶碗にしみついた紅の色だ。茶碗にこびりついた古い血の色にも見えるかのような赤をインクで表現したいと思った。
深みのある赤色だけれども、さびたような茶色にも近い色。さらにそこに肉感的な人間関係を感じられるような妖艶さのようなものも表現したいと思い、この色を作った。
本来であれば、そのすべてをコトバノイロとして表現したいくらい、この二人の作家の作品はどれも深く心に刻まれている。
その中でも川端康成は子ども心にどの作品にも独特の影のようなものが感じらて、そこが官能的でもあり、ぞくぞくしながらページを繰っていたことを今でも覚えている。
それは、例えば小学生の時に図書室にあった江戸川乱歩を読んでいた時から憧れていた世界でもある。子ども心に「淫靡」な世界(もちろん、その当時はそんな言葉も知らなかったわけだが)に対する想いがとても強かった。
子どもというのは親から見てはいけないと言われる物事にほど、興味を持つものだ。川端康成らの作品は、子どもにとっては禁断の世界が、ページを開けばいくらでも垣間見せてくれる。それをドキドキしながら読むのが楽しみでもあった。
ぼくは人間の明るい部分だけではなく、抗えない暗い感情というものに非常に興味があったのだ。
川端康成の作品の根底にはそんな人間として生まれたがゆえの哀しみだとか、情念のようなものが漂っている気がして、知らず知らずのうちにどの作品を読んでも、そういった陰の部分を探すようになった。
この「千羽鶴」もそんな人間の奥底に潜む情念のようなものを官能的に描いた作品だとぼくは思っている。
この作品の中で特に印象的なのは、志野茶碗や風呂敷に描かれた千羽鶴である。
川端康成の作品にはそういったさりげない日本の伝統美が描かれており、それが作品に奥行きを与えている。この「千羽鶴」でも、そういったところを随所に感じられ、ぼくはそういうところを読むのが大好きなのだ。
この作品はストーリーも少し入り組んでいて面白いのだが、人間の感情を描きながらも、そういったディテールも描写されているので、より一層鮮明に印象に残るのだ。
そんな「千羽鶴」をコトバノイロで取り上げると決まった時にぼくが思い描いたのは、口紅の色である。しかし、その口紅の色は艶やかな深紅の色ではない。形見として受け取った志野茶碗にしみついた紅の色だ。茶碗にこびりついた古い血の色にも見えるかのような赤をインクで表現したいと思った。
深みのある赤色だけれども、さびたような茶色にも近い色。さらにそこに肉感的な人間関係を感じられるような妖艶さのようなものも表現したいと思い、この色を作った。







この商品には以下のバリエーション(色・種類)があります。
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