Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ 春琴抄(しゅんきんしょう)







企画・文章:文具ライター武田健
谷崎潤一郎と聞いて、ぼくが真っ先に思い浮かべる単語は「変態」だ。日本の文豪の一人として数えられる純文学作家を「変態」呼ばわりするなんて、不謹慎だと怒る人もいるかもしれない。しかし、良く考えて欲しい。文学なんていうものは、高尚なものでもなんでもなくて、もっと人間の根源的な問題を突き付けているものが多いのだから、必然的に変態チックになるんじゃないか。とぼくは思っている。
そういう意味では川端も変態だし(だって、片腕を溺愛しちゃったり、老人が寝ている少女に欲情しちゃったりするんだから!)、男の肉体について事細かに分析するのが好きな三島由紀夫だって大変態だ。
さて、そんな変態作家の代表とも言える谷崎の小説からぼくが選んだのは「春琴抄」である。ぼくの世代だとこの作品は、山口百恵、三浦友和のコンビで映画化されたもので知っている人は多いかもしれない。
それほど長い作品ではないが、ぼくの記憶ではこの作品は教科書には掲載されなかったような気がする。だから、ぼくも谷崎自体を読むようになったのは大学生になってからだし、この作品もだいぶ後になってから(タイトルは知っていたけれども)読んだ記憶がある。
ただ、ぼくは先端恐怖症なところがあるので、ストーリー的にちょっと読めなくて、思わず目をそらしてしまう部分があるのだが、この作品のまるで水が流れるかのような文体にまず驚かされる。
文章が途切れることなく、次から次へと紡ぎ出され、そこから情景がくっきりと浮かび上がっていくところが見事で、まるで映画を見ているかのような錯覚に陥る。そういう意味ではこの作品が映画化されるというのはごくごく自然のことなのかもしれない。
考えてみれば、谷崎作品は非常に映像化されやすく、今でも、例えば「細雪」などは何度も映画化されるばかりでなく、しばしばお芝居などでも見ることができる。
さて、こちらの「春琴抄」だが、とにかく全編を貫いているのは、ヒリヒリとするような痛いくらいの愛だ。それも谷崎らしい、自虐的な(俗っぽい言い方が許されるのであればSMチックな)部分が根底に流れており、それがさらにヒリヒリ感を募らせる。読んでいると、あまりにも痛々しくて、こちらの心に余裕がないと、どっと疲れてしまう作品でもある。
そんな「春琴抄」の世界を色で表すとしたら、どんな色だろうかと考えてぼくが作ったのは、黒の入った桃色だ。タイトルだけを見ると、淡いピンクの色を思い浮かべる人も多いだろう。春の代表的な花である桜のピンク色をほんのりとイメージして作品を読んでいくと、ところがどっこい、実際の作品は非常にきついものがある。いつも針を目の前に突き付けられているようなそんな緊張感がずっと漂っている作品とも言えるだろう。ぼくが最初にこの作品から受けた印象は「静かな激情」である。一見静かな文章に見えるけれども、良く読むとその根底にあるのは激しい感情だ。しかも、面白いのは、それを流れるような文体で感じさせないところ。そこがこの作品の面白さだし、そのアンバランスというところを色で表現するべく、ぼくは黒みがかったピンク色に仕上げたのだ。
そういう意味では川端も変態だし(だって、片腕を溺愛しちゃったり、老人が寝ている少女に欲情しちゃったりするんだから!)、男の肉体について事細かに分析するのが好きな三島由紀夫だって大変態だ。

さて、そんな変態作家の代表とも言える谷崎の小説からぼくが選んだのは「春琴抄」である。ぼくの世代だとこの作品は、山口百恵、三浦友和のコンビで映画化されたもので知っている人は多いかもしれない。
それほど長い作品ではないが、ぼくの記憶ではこの作品は教科書には掲載されなかったような気がする。だから、ぼくも谷崎自体を読むようになったのは大学生になってからだし、この作品もだいぶ後になってから(タイトルは知っていたけれども)読んだ記憶がある。
ただ、ぼくは先端恐怖症なところがあるので、ストーリー的にちょっと読めなくて、思わず目をそらしてしまう部分があるのだが、この作品のまるで水が流れるかのような文体にまず驚かされる。
文章が途切れることなく、次から次へと紡ぎ出され、そこから情景がくっきりと浮かび上がっていくところが見事で、まるで映画を見ているかのような錯覚に陥る。そういう意味ではこの作品が映画化されるというのはごくごく自然のことなのかもしれない。
考えてみれば、谷崎作品は非常に映像化されやすく、今でも、例えば「細雪」などは何度も映画化されるばかりでなく、しばしばお芝居などでも見ることができる。
さて、こちらの「春琴抄」だが、とにかく全編を貫いているのは、ヒリヒリとするような痛いくらいの愛だ。それも谷崎らしい、自虐的な(俗っぽい言い方が許されるのであればSMチックな)部分が根底に流れており、それがさらにヒリヒリ感を募らせる。読んでいると、あまりにも痛々しくて、こちらの心に余裕がないと、どっと疲れてしまう作品でもある。
そんな「春琴抄」の世界を色で表すとしたら、どんな色だろうかと考えてぼくが作ったのは、黒の入った桃色だ。タイトルだけを見ると、淡いピンクの色を思い浮かべる人も多いだろう。春の代表的な花である桜のピンク色をほんのりとイメージして作品を読んでいくと、ところがどっこい、実際の作品は非常にきついものがある。いつも針を目の前に突き付けられているようなそんな緊張感がずっと漂っている作品とも言えるだろう。ぼくが最初にこの作品から受けた印象は「静かな激情」である。一見静かな文章に見えるけれども、良く読むとその根底にあるのは激しい感情だ。しかも、面白いのは、それを流れるような文体で感じさせないところ。そこがこの作品の面白さだし、そのアンバランスというところを色で表現するべく、ぼくは黒みがかったピンク色に仕上げたのだ。




この商品には以下のバリエーション(色・種類)があります。
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