Pent〈ペント〉 ボトルインク コトバノイロ 潮騒(しおさい)







企画・文章:文具ライター武田健
三島由紀夫は、作品そのものよりも、まずその人物に非常に興味があった。作品を知る前に、三島由紀夫という人物像の方が若い頃のぼくにとっては強烈なインパクトを与えたので、余計に、作品より作家の方に興味を持ったのかもしれない。
虚弱体質で、ひょろひょろしていたことがコンプレックスで体を鍛えるようになり、ボディビルに目覚め、さらに美しさを徹底的に求め、老いて醜くなることを極端に恐れた彼は、思想的なことなども絡んで最後は自害してしまう。そんな作家、後にも先にも彼しかいないのではないだろうか?
さらに、「仮面の告白」や「禁色」という作品でもわかるように、彼には同性愛者的な傾向があったというのも、ぼくにとっては共感を覚える側面であった。
彼の描く作品はどれも実に肉感的で、生々しい。特に男性の描写は格別で、ここまで丹念に男の肉体を表現することができる人はいないのではないかと思えるほどだ。
そんな三島の作品はぜひ「コトバノイロ」で取り上げたいと思っていた。しかし、いったいどの作品を取り上げたら良いのか、これまた悩んでしまったのである。
ぼくは三島由紀夫を修論のテーマとして取り上げたのだが、その時の作品は「禁色」だった。なので、その「禁色」をテーマにした色でも良かったのだが、名前そのものに色のイメージがついているし、果たしてそれが作品にふさわしいのかと言われると、微妙なところだし、果たしてそれが何色になるのか、というのも賛否両論別れてしまうだろう。
「金閣寺」「豊饒の海」といった代表作から「夏子の冒険」「幸福号出帆」「幸福の星」といった、自分好みの作品まで考えてみたのだが、どれも色のイメージが思い浮かばない。
そんな時、若い頃に読んだ「潮騒」を思い出した。
ぼくたちの世代では、三浦友和と山口百恵が共演した映画でも知られている有名な作品なのだが、あまりにも有名過ぎて、すっかりぼくの頭の中から候補作として外れてしまっていたのだ。
この作品を初めて読んだのは、確か高校時代だったと思う。その時の印象は海辺の町の若い漁師と娘の淡い恋の物語。二人の初々しく、不器用なやり取りにやきもきしたり、ドキドキしたりしながら読んだことを思い出した。
しかし、大人になった今、読んだらどう感じるだろうか、実は少し不安になった。たまに、昔は感動したのに、大人になって読んでみたら、そんなに面白くなかったと思うような作品も中にはあるからだ。若い頃好きだった作品ほど、そういう気持ちになってしまうのが嫌で、当時の思い入れが強い作品ほど、大人になってから読むのがためらわれてしまう。
しかし、今回のシリーズで色を作らなくてはならないので、恐る恐る読み返してみた。すると、ぼくが抱いていた心配は杞憂に終わった。
もちろん、初めて読んだ時のようなドキドキした感情はあまり蘇らなかったが、大人になって読んでも、十分共感できるし、初々しい二人の姿は大人になった今でもエバーグリーンと感じたのである。
そこからぼくがイメージした色は、空の青さと海の青さを掛け合わしたようなブルー。濃くもなく、薄くもなく、明るくもなく、暗くもない、そんなブルー。
爽やかな青さは若い二人の姿にも通じるし、大人になっていろいろなことを経験することで、薄れていく初々しさを思い出させる色でもあると思う。
虚弱体質で、ひょろひょろしていたことがコンプレックスで体を鍛えるようになり、ボディビルに目覚め、さらに美しさを徹底的に求め、老いて醜くなることを極端に恐れた彼は、思想的なことなども絡んで最後は自害してしまう。そんな作家、後にも先にも彼しかいないのではないだろうか?
さらに、「仮面の告白」や「禁色」という作品でもわかるように、彼には同性愛者的な傾向があったというのも、ぼくにとっては共感を覚える側面であった。
彼の描く作品はどれも実に肉感的で、生々しい。特に男性の描写は格別で、ここまで丹念に男の肉体を表現することができる人はいないのではないかと思えるほどだ。
そんな三島の作品はぜひ「コトバノイロ」で取り上げたいと思っていた。しかし、いったいどの作品を取り上げたら良いのか、これまた悩んでしまったのである。

ぼくは三島由紀夫を修論のテーマとして取り上げたのだが、その時の作品は「禁色」だった。なので、その「禁色」をテーマにした色でも良かったのだが、名前そのものに色のイメージがついているし、果たしてそれが作品にふさわしいのかと言われると、微妙なところだし、果たしてそれが何色になるのか、というのも賛否両論別れてしまうだろう。
「金閣寺」「豊饒の海」といった代表作から「夏子の冒険」「幸福号出帆」「幸福の星」といった、自分好みの作品まで考えてみたのだが、どれも色のイメージが思い浮かばない。
そんな時、若い頃に読んだ「潮騒」を思い出した。
ぼくたちの世代では、三浦友和と山口百恵が共演した映画でも知られている有名な作品なのだが、あまりにも有名過ぎて、すっかりぼくの頭の中から候補作として外れてしまっていたのだ。
この作品を初めて読んだのは、確か高校時代だったと思う。その時の印象は海辺の町の若い漁師と娘の淡い恋の物語。二人の初々しく、不器用なやり取りにやきもきしたり、ドキドキしたりしながら読んだことを思い出した。
しかし、大人になった今、読んだらどう感じるだろうか、実は少し不安になった。たまに、昔は感動したのに、大人になって読んでみたら、そんなに面白くなかったと思うような作品も中にはあるからだ。若い頃好きだった作品ほど、そういう気持ちになってしまうのが嫌で、当時の思い入れが強い作品ほど、大人になってから読むのがためらわれてしまう。
しかし、今回のシリーズで色を作らなくてはならないので、恐る恐る読み返してみた。すると、ぼくが抱いていた心配は杞憂に終わった。
もちろん、初めて読んだ時のようなドキドキした感情はあまり蘇らなかったが、大人になって読んでも、十分共感できるし、初々しい二人の姿は大人になった今でもエバーグリーンと感じたのである。
そこからぼくがイメージした色は、空の青さと海の青さを掛け合わしたようなブルー。濃くもなく、薄くもなく、明るくもなく、暗くもない、そんなブルー。
爽やかな青さは若い二人の姿にも通じるし、大人になっていろいろなことを経験することで、薄れていく初々しさを思い出させる色でもあると思う。




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